相続登記義務化は、放置すると過料だけでなく、相続そのものが難しくなったり、手続きが複雑化するなど、深刻な問題を引き起こす可能性があります。
そこでこの記事では、具体的な事例を交えながら、相続登記を放置することで発生するリスクをご紹介します。
相続登記は、早急に手続きを行わなければ様々なリスクを伴うため、リスクを避けるためにもこの記事を読んで相続登記の手続きを早急に行うメリットを知っておきましょう。
□相続登記義務化しないとどうなる?
相続登記義務化は、所有者不明土地問題の解消を目的とし、2024年4月1日から施行されました。
この義務化により、相続が発生した場合、相続人は原則として3年以内に相続登記を行う必要があります。
期限内に手続きを完了しないと、10万円以下の過料が科せられることになりました。
しかし、過料よりも深刻なのは、相続登記を放置することで生じる様々なリスクです。
1: 相続が事実上不可能になるケース
相続登記を放置すると、相続人が亡くなったり、相続関係が複雑化したりする中で、相続の話し合いが難航し、最終的に相続手続きが不可能になってしまうケースがあります。
過去の事例では、相続人が50名以上にまで増え、費用面などの問題から、相続手続きが完了に至らなかったケースもありました。
もし、相続登記を早めに済ませていれば、このような事態は防げた可能性があります。
2: 相続手続きが複雑化するケース
相続登記がされていない場合、誰がどの財産を相続するのか分からず、相続人の特定や連絡が困難になることがあります。
相続人が複数いる場合、全員の同意を得て手続きを進める必要がありますが、相続登記がされていないと、その同意を得ることが難しく、手続きが複雑化してしまいます。
3: 不動産の売却や賃貸が困難になるケース
相続登記がされていない不動産は、売却や賃貸をする際、手続きが複雑化したり、時間がかかったりすることがあります。
また、売却や賃貸には相続人全員の同意が必要となる場合がありますが、相続人全員と連絡が取れない場合は、売却や賃貸が困難になる可能性があります。
□相続登記を放置することで何が起きるのか?
相続登記を放置することで、様々なリスクが発生することはご理解いただけたかと思います。
では、具体的にどのような問題が発生するのでしょうか。
1: 所有者不明土地問題
相続登記がされないまま放置されると、所有者が分からなくなる「所有者不明土地」が増加し、社会問題となっています。
所有者不明土地は、適切な管理が行われず、不法投棄や不法占拠、雑草の繁茂などの問題が発生しやすく、周辺環境や治安の悪化にもつながります。
また、災害が発生した場合、所有者と連絡が取れないため、復旧作業が遅延する可能性もあります。
2: 相続人同士のトラブル
相続登記を放置すると、相続人同士のトラブルに発展する可能性があります。
相続登記がされていないと、誰がどの財産を相続するのか分からず、相続人同士で争いが起こることがあります。
また、相続人が増えれば増えるほど、話し合いが難航し、裁判になるケースも少なくありません。
3: 税金や固定資産税の負担増加
相続登記を放置すると、税金や固定資産税の負担が増加する可能性があります。
相続登記がされていないと、相続税の申告が遅れる可能性があり、延滞税が課せられることがあります。
また、固定資産税も、所有者不明のまま放置されると、相続人全員に課せられる可能性があります。
□まとめ
相続登記は、相続が発生した場合、必ず行わなければならない手続きです。
相続登記を放置すると、過料だけでなく、相続が事実上不可能になる、相続手続きが複雑化する、不動産の売却や賃貸が困難になる、所有者不明土地問題、相続人同士のトラブル、税金や固定資産税の負担増加など、様々なリスクが発生します。
相続登記は、相続が発生した時点で、できるだけ早く行うことをおすすめします。