不動産に興味がある方は、金融機関から融資を受けようと考えているかもしれません。
しかし、その際に「根抵当権」という言葉を耳にしたものの、その仕組みや極度額の決め方がよく分からず、不安に感じているのではないでしょうか。
根抵当権は、不動産投資において複数回の融資を受ける際に便利な仕組みです。
しかし、適切に設定しないと、将来的なリスクに繋がってしまう可能性も。
この記事では、根抵当権の極度額の決め方を、具体的な事例や注意点などを交えながら解説します。
根抵当権とは?
根抵当権とは、不動産投資において、将来発生する不特定多数の債権を担保するための仕組みです。
抵当権との違いやメリット・デメリットを理解することで、不動産投資をより有利に進めることができます。
1: 抵当権との違い
抵当権は、特定の債権を担保するための権利です。
例えば、マイホーム購入時の住宅ローンを組む場合、そのローンを担保するために、金融機関はその不動産に対して「抵当権」を設定します。
ローンを返済し終えると、抵当権は抹消されます。
一方、根抵当権は、不特定多数の債権を担保するための権利です。
不動産投資においては、経営を続けていくうちに、維持費や修繕費など、追加で費用がかかることがあります。
このような場合、新たに抵当権を設定するよりも、根抵当権を設定しておく方が便利です。
2: 根抵当権のメリット
根抵当権のメリットは、以下のとおりです。
・複数の債権を1つの根抵当権で担保できる。
・抵当権の設定手続きが簡素化される。
・将来の追加融資がスムーズに行える。
3: 根抵当権のデメリット
根抵当権のデメリットは、以下のとおりです。
・極度額の範囲内でしか融資を受けられない。
・根抵当権を解除する際には、金融機関との契約解除が必要となる。

根抵当権の極度額の決め方
根抵当権の極度額は、不動産の価値や今後の借入計画などを考慮して設定する必要があります。
具体的な事例を挙げながら、極度額を決めるためのポイントや注意点、極度額と貸出予定額の関係などを解説します。
1: 極度額を決めるポイント
極度額を決める際には、以下のポイントを考慮する必要があります。
・不動産の価値:不動産の価値は、極度額の上限となります。
・今後の借入計画:将来的な借入計画を考慮し、必要な額を確保する必要があります。
・金融機関の審査基準:金融機関によって、極度額に対する審査基準が異なります。
2: 極度額の具体例
例えば、1億円で購入した不動産に対して、根抵当権を設定する場合、極度額は1億円を超えることはできません。
また、今後、不動産の価値が上昇した場合、極度額を増額することも可能です。
3: 極度額と貸出予定額の関係
極度額は、あくまでも「債権の限界額」です。
実際に貸し出されるのは「貸出予定額」という金額になります。
貸出予定額は、通常、極度額の80%前後に設定されます。
例えば、極度額が3,000万円の場合、実際に借りられる金額は、2,400万円前後になります。
これは、金融機関がリスクを考慮し、極度額で貸し出すことを避けているためです。

根抵当権の極度額設定における注意点
根抵当権の設定には、極度額の決め方以外にも、金融機関との契約内容や将来的なリスクなどを考慮することが重要です。
具体的な事例を挙げながら、根抵当権設定における注意点や、トラブルを防ぐための対策などを解説します。
1: 契約内容の確認
根抵当権を設定する際には、金融機関との契約内容をしっかりと確認することが重要です。
特に、以下の点に注意が必要です。
・極度額の変更に関する規定:極度額の変更手続きや条件などを確認しておきましょう。
・担保物件の範囲:根抵当権の設定対象となる不動産が、明確に定められているか確認しましょう。
・違約金に関する規定:契約違反した場合に発生する違約金などの条件を確認しましょう。
2: 将来的なリスクへの対応
根抵当権を設定する際は、将来的なリスクにも対応できるよう、事前に対策を検討しておくことが重要です。
・不動産価格の下落:不動産価格が下落した場合、極度額が設定した金額よりも低くなってしまう可能性があります。
・金利上昇:金利が上昇した場合、返済額が増加し、返済が困難になる可能性があります。
・災害による損害:地震や火災などの災害によって、不動産が損壊した場合、担保価値が減少する可能性があります。
3: トラブルを防ぐための対策
根抵当権設定におけるトラブルを防ぐためには、以下の対策が有効です。
・信頼できる不動産会社と契約する:専門知識を持った不動産会社に相談することで、適切なアドバイスを受けることができます。
・契約内容をしっかりと理解する:契約書の内容をよく理解し、不明な点は質問するようにしましょう。
・定期的に資産状況を見直す:定期的に資産状況を見直し、必要に応じて極度額を変更するなど、対応しましょう。
まとめ
この記事では、根抵当権の極度額の決め方について解説しました。
根抵当権は、不動産投資において、複数の債権を担保するために便利な仕組みですが、適切に設定しないと、将来的なリスクに繋がってしまう可能性があります。
極度額を決める際には、不動産の価値や今後の借入計画などを考慮し、金融機関との契約内容をしっかりと確認することが重要です。
また、将来的なリスクにも対応できるよう、事前に対策を検討しておくことが大切です。
この記事が、皆様の不動産投資における融資の理解の一助になれば幸いです。