共有道路は、複数の所有者が共有する道路です。
一見便利そうですが、実際にはさまざまなトラブルが潜んでいます。
隣家とのトラブルに発展することも珍しくありません。
今回は、共有道路トラブルの原因と解決策、そして予防策や不動産売買における注意点を解説します。
スムーズな解決に向けて、ぜひ参考にしてください。
共有道路におけるトラブルの原因と解決策
共有者間の意見の食い違いによるトラブル
共有道路の維持管理や改修工事などを行う際には、共有者全員の合意が必要となるケースが多いです。
しかし、共有者間で意見が一致せず、工事が進まない、あるいは管理方法が定まらないといったトラブルが発生することがあります。
例えば、舗装の要不要や材質、修繕費用負担の方法などで意見が対立し、長期間にわたって問題が解決しないケースも考えられます。
民法改正により、軽微な変さらについては持分の過半数の同意で可能になったため、まずは現状の確認と話し合いが重要です。
費用負担の不公平によるトラブル
共有道路の維持管理費用、固定資産税などは、原則として共有者全員が持分に応じて負担します。
しかし、一部の共有者が費用を支払わず滞納するケースがあります。
滞納が続くと、他の共有者に負担が偏り、新たなトラブルに発展する可能性があります。
滞納が1年以上続けば、他の共有者は相当の償金を支払うことで滞納者の持分を取得できますが、それでも通行権等の新たなトラブルに繋がる可能性があります。
費用負担のルールを明確に定めておくことが重要です。
共有者不明・連絡不能によるトラブル
共有者の一部が行方不明になったり、連絡が取れなくなったりするケースも想定されます。
共有者の相続が適切に行われていない場合、新たな共有者特定に時間がかかり、管理や改修工事が滞ってしまう可能性があります。
このような場合、裁判所の決定を得ることで、行方不明者の持分を除外した上で、管理や変更を行うことが可能です。
通行権・掘削権に関するトラブル
共有道路の通行権や、ライフライン設備の設置のための掘削権に関してトラブルが発生する可能性があります。
特に相互持合型では、自分の土地部分以外での掘削には、他の共有者の許可が必要となります。
民法改正により、ライフライン設備の設置・使用権が整備されましたが、それでも拒否された場合は裁判による解決が必要となる場合があります。
通行権や掘削権については、事前に書面で明確にしておくことが重要です。
トラブル発生時の対処法
トラブルが発生した場合は、まず共有者間で話し合いを行い、解決を目指しましょう。
話し合いが難航する場合は、市区町村役場への相談、弁護士への相談などを検討してください。
最終的には調停や訴訟という手段も考えられますが、時間と費用がかかることを認識しておく必要があります。
また、近隣住民との関係を完全に断ち切りたい場合は、不動産買取会社への相談も有効な手段です。
共有道路におけるトラブルの予防と不動産売買における注意点
共有道路の権利関係の明確化
共有道路の権利関係を明確にしておくことは、トラブル予防に非常に重要です。
法務局で登記事項証明書を取得し、所有者や持分比率などを確認しましょう。
権利関係が複雑な場合は、専門家に相談することをおすすめします。
維持管理費用の明確なルール設定
共有道路の維持管理費用に関するルールを事前に明確に定めておくことで、後々のトラブルを防ぐことができます。
費用負担の方法、徴収方法、積立金制度などについて、共有者間で合意し、書面で残しておくことが重要です。
書面による合意事項の確認
共有者間の合意事項は、必ず書面で確認するようにしましょう。
口約束ではトラブルになった際に証拠として不十分なため、明確な合意内容を記載した書面を作成し、共有者全員で署名・捺印することが重要です。
特に通行権や掘削権、維持管理費用に関する事項は、詳細に記載しておくべきです。
不動産売買における注意点
共有道路に接する不動産の売買を行う際には、私道の権利関係、過去のトラブルの有無、維持管理費用などを事前に確認することが重要です。
これらの情報が不透明なまま売買を進めると、売買後トラブルに発展する可能性があります。
購入前に周辺住民への聞き込みや、専門家への相談も検討しましょう。
売却時には、買主に権利関係を明確に伝える必要があります。
建築基準法の確認
共有道路が建築基準法上の道路に該当するかどうかを確認しましょう。
建築基準法上の道路であれば、一定の基準を満たす必要があります。
満たしていない場合、建物の建築や改築に制限がかかる可能性があります。
掘削承諾の取得
ライフライン設備の設置のために掘削を行う場合は、事前に共有者全員の承諾を得ておく必要があります。
承諾を得られないまま掘削を行うと、トラブルに発展する可能性があります。
掘削承諾は書面で取得し、保管しておきましょう。
まとめ
共有道路は、複数の所有者が共有する道路であり、さまざまなトラブルが潜んでいます。
トラブルを予防するためには、権利関係の明確化、維持管理費用のルール設定、書面による合意事項の確認が不可欠です。
不動産売買においても、私道の状況を事前に確認し、権利関係を明確に伝える必要があります。
トラブルが発生した場合は、話し合い、行政への相談、弁護士への相談などを検討し、適切な解決策を選択しましょう。
共有道路に関する知識を深め、トラブルを未然に防ぎ、円滑な関係を築くことが重要です。
不動産の売却は、相続や離婚、ローン問題など、複雑な事情が絡むことが少なくありません。
当社では、弁護士や税理士など各分野の専門家と連携し、売主が抱える問題をスムーズに解決できる体制を整えています。
これにより、不動産売却の不安を軽減し、安心して取引を進めることができますので、お困りの方は当社へご相談ください。