マンションを購入したものの、さまざまな事情からすぐに売却を検討するケースは珍しくありません。
しかし、短期間での売却にはリスクも伴います。
住宅ローンの残債や税金、諸費用といった点で想定外の出費が生じることもあります。
焦って手続きを進めると、思わぬ損失につながる可能性があります。
この記事では、マンションを「買ってすぐ売る」際の注意点や判断のポイントをご紹介します。
マンションを買ってすぐ売ると起こる金銭的リスク
売却価格より住宅ローン残債が高くなるケース
購入直後のマンションは、売却価格がローン残債を下回ることが多くなります。
これは、住宅購入時にかかる諸費用(登記費用・ローン手数料・仲介手数料など)が売却価格に反映されにくいためです。
特に物件価格が下がる傾向のあるエリアでは、購入時点より数百万円下がるケースも珍しくありません。
その場合、自己資金で差額を補う必要が出てきます。
売却益でローンを完済できない場合、買い手が決まっても取引が成立しない恐れがあります。
短期譲渡所得にかかる税金と計算方法
マンションを購入から5年以内に売却した場合、その利益に対して短期譲渡所得として課税されます。
税率は所得税30%、住民税9%で合計39%。
これは5年以上保有した場合(20.315%)のほぼ倍にあたります。
譲渡所得は「売却額-取得費-譲渡費用」で計算され、利益が出た場合には高い税率が適用されます。
購入時に高値で買い、安く売らざるを得なければ損失となり課税はされませんが、それでも経済的損失は避けられません。
仲介手数料や登記費用などの諸費用
売却時にもコストは発生します。
主なものとしては不動産会社に支払う仲介手数料(売却価格×3%+6万円+消費税)、抵当権抹消の登記費用、引っ越し費用などが挙げられます。
たとえ売却金額がローン残債と同程度だったとしても、これらの費用を考慮すると実質的な赤字になることがほとんどです。
短期売却をするなら、諸費用も含めたシミュレーションが欠かせません。

マンションを早期に売る場合の判断ポイント
市場価格と売却タイミングの見極め方
売却タイミングは、損得を左右する重要な要素です。
新築プレミアムが落ち着く1〜2年後は売却価格が落ちやすい傾向にあります。
また、エリアの需給バランスや金利動向によっても価格は変動します。
売り時を見極めるには、近隣の成約事例や不動産ポータルの相場チェックが有効です。
不動産会社による査定を複数とることで、現在の市場価値を把握できます。
ローン残債を考慮した資金計画の立て方
早期売却を行う際は、ローン残債を明確に把握し、その金額と売却見込み額を照らし合わせる必要があります。
万が一、売却価格がローン残債を下回る場合、その差額を自己資金で補填できるかどうかがカギになります。
ローンが組める条件や自己資金の余裕がない場合、早期売却が難しいケースもあるため、事前に資金計画を立てることが求められます。
すぐ売る理由を不動産会社にどう伝えるか
マンションを買ってすぐに売る理由は、不動産会社からも当然確認されます。
「転勤」「家庭の事情」「収支の見直し」など正直に伝えることが大切です。
理由が明確であれば、適切な売却戦略を組みやすくなりますし、相場とかけ離れた価格設定を避ける判断材料にもなります。
売主としての信頼感があると、担当者の対応もスムーズになり、販売活動も前向きに進めやすくなります。

まとめ
マンションを買ってすぐ売ることは、税金やローン、諸費用などさまざまな面で損失を招くリスクがあります。
特に短期譲渡は税負担が重く、売却価格とローン残債とのバランスが崩れると取引そのものが成立しないこともあります。
そのため、売却タイミングの見極めや資金計画、不動産会社とのやりとりが重要になります。
焦らず慎重に準備し、最小限の損失での売却を目指しましょう。