マンションという集合住宅における自身の権利を正確に理解することは、快適で安心な生活を送る上で非常に重要となります。
特に、個々の住戸(専有部分)の所有権とは別に、建物全体の共用部分や敷地全体に対する権利の割合を示す「共有持分」という概念は、しばしば複雑に感じられるかもしれません。
この共有持分が、マンションの管理や将来的な資産価値にどのように関わるのか、そしてそもそも自身の共有持分がどのように決まり、どのように確認できるのかを知ることは、所有者としての認識を深める第一歩となるでしょう。
マンションの共有持分と区分所有の違い
共有持分はマンションの「権利」の割合を示す
マンションにおける「区分所有」とは、建物の一部を、独立して利用可能な部分として所有する権利を指し、具体的には各自が所有する専有部分(部屋)と、その専有部分を所有するための権利を指します。
これに対し、「共有持分」とは、区分所有者がマンション全体の共用部分(廊下、階段、エントランス、エレベーター、外壁、屋根など)や、マンションが建つ敷地全体に対して有する権利の割合を示すものです。
つまり、区分所有が個々の独立した住戸に対する所有権を意味するのに対し、共有持分は、マンションという一つの建物・敷地を共有する全ての区分所有者間で、共用部分や敷地に対する権利がどのように分割されているか、その持分の比率を表す概念と言えます。
区分所有は専有部共有持分は共用部敷地への権利
区分所有法によって定められる「区分所有」は、専有部分、すなわち、壁、床、天井などで区切られ、独立して住居や店舗などとして使用できる建物の部分のみを指します。
この専有部分については、区分所有者は単独で所有権を行使し、売買や賃貸などの処分を行うことができます。
一方で、「共有持分」は、区分所有者が必然的に有することになる、区分所有者全員で共有する「共用部分」および「敷地」に対する権利の割合です。
共用部分は、各住戸の専有部分以外の全ての部分を含み、敷地はマンションが建っている土地全体を指すため、共有持分はマンション全体の共有資産に対する各所有者の権利関係を明確にするための重要な指標となります。
共用部分・敷地の利用権は共有持分割合で決まる
個々の区分所有者が有する共有持分割合は、単に権利の比率を示すだけでなく、マンション生活における様々な側面で具体的な権利や義務に影響を与えます。
例えば、共用部分の利用方法や、管理組合における総会での議決権の重み、さらにはマンションの維持管理にかかる費用(管理費や修繕積立金)の負担割合などが、この共有持分割合に基づいて決定されるのが一般的です。
また、将来的にマンションが解体されるような事態が発生した場合、解体後の土地や建物の残余財産を分配する際にも、共有持分割合がその基準となります。
このように、共有持分割合は、マンションにおける共有資産への関わり方を規定する根幹となる権利といえます。

マンションの共有持分の割合はどう決まる?登記簿謄本で確認できる?
持分割合は購入時の契約や登記で決まる
マンションの区分所有者が有する共有持分割合は、一般的に、その区分所有者が取得した際の売買契約や、それに付随する重要事項説明書、そして最終的に法務局に登記される内容によって決定されます。
多くのケースでは、各区分所有者の専有部分の床面積が、共有持分割合を算出する際の主要な基準として用いられます。
例えば、専有部分の床面積がマンション全体の専有部分の合計床面積の100分の1であれば、共用部分や敷地に対する共有持分割合も100分の1となるのが標準的な定め方です。
しかし、契約内容によっては、床面積以外の要素が加味される場合もあり得るため、購入時の契約内容を正確に理解しておくことが肝要です。
相続や贈与で持分割合は変動する
マンションの共有持分割合は、一度決定されたら固定されるものではなく、その後の権利の移転によって変動する可能性があります。
例えば、親から子へマンションが相続された場合、本来の相続人が複数いると、それぞれの相続人に共有持分がさらに分割・承継されることになります。
また、夫婦間での財産分与や、一方の配偶者から他方への贈与といった形で、共有持分割合の割合が変わることも考えられます。
このように、結婚、離婚、相続、贈与、あるいは区分所有権の売買といった様々なライフイベントや法的措置によって、個々の共有持分割合は変化しうるため、常に最新の状況を把握しておくことが重要です。
登記簿謄本で共有持分の確認が可能
マンションの共有持分割合を具体的に確認したい場合、最も確実な方法の一つとして、法務局で取得できる「登記事項証明書」(旧登記簿謄本)の確認が挙げられます。
登記事項証明書には、不動産に関する様々な情報が記載されており、マンションの場合は、土地や建物全体の情報に加え、各区分所有者の氏名や住所とともに、その区分所有者が有する土地および建物(共用部分及び敷地)に関する持分割合が明記されています。
具体的には、不動産登記の「表題部」には建物の概要が、「権利部」には所有権やその他の権利に関する事項が記載されており、共有持分割合は通常、「権利部(甲区)」の所有権に関する記載の中で確認することができます。

まとめ
マンションの共有持分と区分所有は、それぞれ専有部分の単独所有権とその権利の割合、そして建物全体や敷地といった共有資産に対する権利の比率を指します。
この共有持分割合は、購入時の契約や登記によって定められ、その後の相続や贈与といった権利変動によって変化する可能性がある重要な要素です。
自身の共有持分割合を把握することは、管理費や修繕積立金の負担、総会での議決権、さらには将来の資産の扱いに関わるため、マンション所有者にとって不可欠な知識と言えるでしょう。
その確認は、最寄りの法務局で取得できる登記事項証明書によって行うことができ、自身の権利関係を明確にするための確実な手段となります。